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プーチン大統領の大改革 vol.1

f:id:sam000urai:20160610224400j:plainPhoto Credit: malatyahaber44 via Compfight cc

  

 

プーチン大統領の大改革

 

プーチン大統領は現在、3期目の任期についている。1期目は2000年- 2004年、2期目は2004年- 2008年、3期目は2012年-現在(任期満了は2018年)である。

今回はその1期目に何を行ったかを見ていきたい。

 

改革は大きく3つに集約される。

 

①地方の力を削ぐことで「中央集権化」を進めた(中央集権化体制強化

②ロシアの金融と資源を支配する「新興財団軍団」の排除

③3つの経済革命の実施

 

中央集権化体制の強化

まず①に関して、具体的に見ていきたい。

プーチンが初の大統領選に勝利したのは2000年3月。そして就任早々に大改革を始める。それは、「連邦管区」の設置だ。

ロシアの正式名称はロシア”連邦”。そのロシア連邦は、日本の都道府県のような「連邦構成主体」からなる連邦制をとっているため、”連邦”と付いている。 日本でいう都道府県の代わりとなるものが、「共和国」、「地方」、「州」、「自治州」、「自治管区」で、合計で83の区域となる。47都道府県ならぬ、83連邦構成主体だ。プーチンの連邦管区の設置とはこの83の区域の上に7つ(現在8つ)の連邦管区として、まとめたことを言う。さらに中央集権化のため、連邦構成体首長(連邦構成主体の知事)は上院議員になれないというルールと、連邦政府は連邦法に違反した首長を解任できる権利を持つというルールを加えた。これらの改革によって、プーチン大統領のもとに全ての権力が集まり、一気に影響力を高めたのだ。

 

8つの連邦管区

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②ロシアの金融と資源を支配する「新興財団軍団」の排除

次に②に関して。プーチン就任以前、民主主義国家になる中で生まれた富の集中と格差。その中心となったのが、7人の「ユダヤ系新興財閥」だ。当時、彼らだけでロシア全体の富の50%を支配すると言われていたという。そして、この財閥らは権力と癒着することで脱税をするなどし、国民はその富の恩恵を受けることができていなかった。そこに目をつけたプーチンとプリマコフ首相はこの財閥らを排除するに至った。

 

ここで、簡単に背景となる歴史を振り返ってみたい。

1945年第二次世界大戦終戦後に行われたヤルタ会議におけるアメリカとソ連の領土分割協定を発端とし、その後の西側のアメリカと東側のソ連が対立することで始まった「冷戦」。そして、その冷戦は1989年にアメリカのブッシュ大統領とソ連のゴルバチョフ書記長間で行われたマルタ会議で終結が宣言された。ソ連周辺では同年、冷戦の象徴的でもあったベルリンの壁が崩壊、翌年の1990年には東西ドイツが統合された。冷戦終結後の1990年にはゴルバチョフ初代大統領が誕生し1年半ほど任期したのち、エリツィン大統領に代わられることとなる。

エリツィン大統領は冷戦時代のボロボロな経済を立て直すべく、IFM(国際通貨基金)から約226億ドルを借りた。IFMはお金を貸す見返りとして、大規模な民営化を指示。少々論理は飛躍するが、この民営化の中で生まれたのが上記の「ユダヤ系新興財閥」だったのだ。

 

③3つの経済革命の実施 

  1. 土地の私有と売買を自由化した
  2. 所得税減税 :12%,20%,30%の三段階→一律13%へ
  3. 法人税減税 :35%→24%

2.3の大幅な減税によって 、それまで納税しなかった国民が納税するようになり個人所得税収は2001年に前年比25.2%、2002年には24.6%、2003年には15.2%、2004年には 14.4%とそれぞれUPさせ、ロシア財政の黒字化に貢献した。この結果からも見えてくるように、プーチンが大統領になった2000年にはGDP10%成長を達成、以後2008年まで毎年7%程度、成長し続けた。さらに、就任していた2000年-2008年の間のほとんどの支持率は、なんと70%以上を維持していたというから驚きである。

 

以上、1期目のプーチン大統領の行ったことを見てきた。さすがはプーチン大統領!

次回は2期目、現在に至るまでを見ていきたい。  

 

プーチン 最後の聖戦  ロシア最強リーダーが企むアメリカ崩壊シナリオとは?

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スノーデンの起こしたリークはなんだったのか

 

 

 

2013年に一気に有名になったエドワード・スノデーンさん。

日本では少し遅れて2014年にメディアなどで多々取り上げられるようになった。

CIA及びNSA(国家安全保障局)の元局員で、その内部で行われていた諜報活動の告発を行った人である。 日本語でツイートするなど親日家としても知られる。

 

 今回読んだ『暴露:スノーデンが私に託したファイル』はガーディアン誌のジャーナリストが書いた著書で、物語としては淡々と進む。翻訳の影響なのか多少の読みにくさはあったが内容は面白かった。また、読んではないが同時期に発売された『スノーデンファイル 地球上で最も追われている男の真実』も詳しいので是非。

 

エドワードスノーデンとは何者か

今回のリーク、そして過去の遍歴を見ても正義感の強い青年という印象が強い。

・スノーデンは、1983621日、ノースカロライナ州エリザベスシティで生まれた。父親ロニーは、元沿岸警備隊員。母親ウェンディはメリーランド州ボルチモアにある連邦地裁事務副主任。姉は弁護士

・スノーデンはボルチモアの高校に入学したが途中退学。理由は分かっていない。何年かぶらぶらしていたが、高卒資格試験(GED)をパスし、2003年、メリーランド州にあるアン・アルンデル・コミュニティ・カレッジに入学しコンピュータ学を専攻した。2004年、『国際テロリストと戦う』ことを目指して陸軍予備役に入隊したが、訓練中に両足を怪我したため除隊

・情報機関との関わり合いができたのは国家安全保障局(NSA)付属のメリーランド大学外国語研修センターの警備員として雇われた時だった。スノーデンはネットオタクで、独学でネット技術について勉強していた。技術者としての適性能力が評価されたのか、その後、07年、米中央情報局(CIA)IT安全管理者として雇用され、ジュネーブのCIA支局に派遣されている

・2009年にCIAを辞めた後は、米デルや、米ブーズ・アレン・ハミルトンに契約社員として雇われ、情報機関へも出向。ブーズ・アレン・ハミルトン時代にはNSAに出向し、日本でも勤務していたという。自称「仏教徒」で、日本語や中国語も勉強し、極東での通信傍受活動に関わっていたのでは、とみる。

個人情報収集:「スノーデン事件」とは何か!?~元CIA職員が暴いた米個人情報収集問題の謎! | nikkei BPnet 〈日経BPネット〉:日経BPオールジャンルまとめ読みサイトより抜粋

 

暴露した内容とは

で、結局スノーデンは何をしたのか?

という点が気になるところだ。簡潔に言えば、秘密を暴露した。その秘密とはNSAによる盗聴とその実態と手口だ。実際にNSAで行われていたことはアメリカ国民始め、各国首脳に対するものも含め、世界中における諜報活動である。その諜報活動として大きく以下のものに分類される。

 

●”アップストーリム”による傍受=光ファイバーケーブル経由

インターネット企業サーバーからの直接収集=「PRISM」

●コンピュータ・ネットワーク利用=「CNE」

 対象ユーザーのパソコンにマルウェアを混入させて監視下に置く方法

 

PRISM計画

アメリカ政府は9.11以降、監視を実行するため「愛国者法」や「外国諜報活動監視法」など数々の法律を制定してきたという。それらの法律改正によりいわば合法的に行われた監視プログラムのうちの一つが有名なPRISMだ。PRISMとは、世界のインターネット企業のサーバーから情報を直接収集するプログラムのことで、いわばデジタル通信の傍受である。

その企業にはWashington PostWP)が入手した同計画の資料によれば、マイクロソフト(Microsoft)、グーグル(Google)、ヤフー(Yahoo)、フェイスブック Facebook)、アップル(Apple)、AOLSkypeYouTubePalTalkなどの名前が挙がっている。巨大ネット企業の中でもTwitterは政府の依頼を断ったという。

 

エシュロン

かの有名なエシュロンは、主にアナログ通信の傍受と言える。

世界各地に置いたこの通信傍受施設によって電波を傍受し、電話や電子メールなどを盗聴。そういった電波には軍事無線、固定電話、携帯電話、FAX、電子メール、データ通信などが含まれている。

 

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エシュロンはほとんどの情報を電子情報の形で入手しており、その多くが敵や仮想敵の放つ電波の傍受によって行われている。1分間に300万の通信を傍受できる史上最強の盗聴機関といわれている。エシュロン - Wikiwand

 

今の時代、傍受されていないと決めつける方がおかしいとも言える。

アプリを使用すればその使用履歴などのデータは送られ、スマホを使えばアップルやグーグルにデータを提供していることになり、画像データはクラウドに上げずともGooglePhotを使っているのであればそのデータは共有されている。無料の便利さと引き換えに自身のデータを提供している。

一番いいのは知られたくない内容はオンライン上にアップしないことだろう。Googleのエリックシュミットも「どうしても人に知られたくないことがあるなら、初めからそれをするべきじゃない」と語る。

 

スノーデンが行ったことで重要な点は、こういった政府による諜報活動を問題提起したという点だ。このことで国民が議論できるものとなり、一人一人が考え、どう受け止めて行動するか。私はネットにアップしている情報はもちろん、LINEやGoogleで使用するデータなどは全て見られているという前提に立っているからあまり問題とは思わないが、プライベートな知りたくないことはアップしないに限る。

 

また不思議な点であるが、なぜあの大国アメリカがたった一人の内部告発者を捕まえることができなかったのだろうか?そして、仮想敵対国であるロシアへの亡命。ロシアにとっては喉から手が出るほど欲しい情報ばかりだったに違いない。本当に捕まることができなかったのか、泳がしているだけなのか、はたまた最初からアメリカがリーク目的に逃がしたのか。アメリカはスノーデンのリークの仕返しにパナマ文書をリークしたのだろうか。いろんな見方はできるがその真相は置いておくとして、スノーデンのような人を見ていていつも思うのは結局は「自由との戦い」だということ。

同じように、”全ての人に情報が開かれているべき”という理想を追求したアーロン・スワーツ。最後までインターネットの自由と戦い、最後は疲弊して自殺に至ったのだが、本当に素晴らしい人だったと思う。

 

いつの時代も権力と自由の間で戦いは起こるのかもしれないが、いつしかバランスの良い状態が訪れることを願うばかりだ。

 

スノーデン氏は「結局、プライバシーとは、あなたが公開したくないことは公開しなくていい権利、あなた自身である権利だと思う」と切り出し、「無制限の監視ではプライバシーは社会のものになり、人権侵害の問題に行き着く。政府の方針に任せるのでなく、市民が社会の主役となり、監視のリスクを議論すべきです」と力説した。亡命中エドワード・スノーデン氏、日本の危機を生中継で指摘(1/2) - シネマトゥデイ

 

暴露:スノーデンが私に託したファイル

暴露:スノーデンが私に託したファイル

 

  

我々にできること

先にも述べたが極論は知られたくないデータをアップしないこと、残さないこと。

スノーデン曰く、盗聴を防ぐにはバッテリーを抜くか、冷蔵庫に入れることだという。スマホやパソコンを遠隔地から起動させ、盗聴器として使うことができるからだとのこと。こういった政府からの傍受を防ぐという点で、本質的な解決にはならないが第三者の不正利用を防ぐという点で有用なのが「2段階認証の導入」だ。これは絶対やっておいたほうがいい。

 

●Googleアカウント  

Googleアカウントの2段階認証の設定 - Gmailの使い方

 

●Facebookアカウント

知っておきたい2段階認証の方法 - Facebook編 (1) Facebookアプリの「設定」画面へ進もう | マイナビニュース

 

有用性

2 段階認証は本当に安全なのか調べてみた

 

参考

映画は2本公開されているので是非ぜひ。

『シチズンフォー』に関しては、日本では2016年6月11日から公開。内容は本人出演んおドキュメンタリーで緊迫感と臨場感が感じられるようだ。もう一つは政治関連の映画が多いオリバーストーン監督の『SNOWDEN(スノーデン)』である。アメリカで2016年9月に公開とのこと。日本での公開は未定とのことで残念。。

 

 

 

監獄の誕生―監視と処罰

監獄の誕生―監視と処罰

 

 スノーデン氏直伝のプライバシー保護ガイド - WSJ

スノーデンが語るプライバシ―自分に関わる権利とは何か―(塚越健司) - 個人 - Yahoo!ニュース

 

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『海賊と資本主義』ー海賊が資本主義に与えた影響とは

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この本を手に取ったのは、自分自身「新しい次なる経済の在り方とは何か」というテーマを持っていて、その中で「資本主義の始まりには海賊という存在がどのような影響を与えたのか」、という点が知りたかったからである。とは言っても実際に何を持って今から資本し主義の社会ですよ!とは言える事はできないと思うので、明確な理由というのはすぐには到達できないと考えている。

 

現段階の仮説としては、海賊という存在が少なからず資本主義を助長したと。資源、奴隷などの貿易を活発的に行うようになり資本家をより富める存在にしたのではと考えている。

→本書を見る限りでは、あながち仮説の筋はいいという結論に至った。

 

資本主義とは

資本主義といえば、トマ・ピケティ氏の『21世紀の資本』「資本主義下の社会では格差は常に拡大し続ける」、「1%のお金持ちがより富を拡大し続ける」ということを示したことで有名だ。ここにおける本質的な問題は「格差の”固定化”」という点にある。これに対して、キャピタルゲイン、配当所得に対する課税が有用だという話もどこかで目にしたが、確かに”固定化”を改善するには強制的に課税にするか、ビルゲイツ・ザッカーバーグなどの著名人が行う自主的な慈善活動を、更に他のお金持ちに対して促進する社会の風潮を作り出すことなのだろうか。

 

またそうした流れに逆らって、パナマ文書の公開という出来事は起きた(リストにアメリカ人がいないことから、他国を潰すために意図的にアメリカが行ったという話もあるが)。まさに反権力派の本書でいう”海賊”という存在だ。 

 

マルクスによれば、資本主義は「資本(capital)が無限に自己増殖する価値運動である」と述べている。ここでもピケティ同様に重要なのはこの価値運動が果てしなく続くことだという点である。この問題を解決するためには資本主義と非資本主義の適切なバランスの組み合わせが必要で、つまり「増殖しない経済圏」を作る必要がある。

マルクスは「物を生産して販売する」”産業資本”の形態を資本形態の本質としてみなしており、資本が無限に増殖する要因となっているものは「労働力」という商品だと述べている。労働力によって多くの剰余価値を生み出すことができ、その剰余分を資本家は受け取り、更に富む。

 

つまり、何が言いたいかというと海賊の存在によって、奴隷という存在の「労働力」商品が生まれ、労働力市場ができ、富あるものは更に富を持っていったのではないかということである。この点、本書では資本主義に対してあまり言及されていないので答えは分からないままである。

 

海賊とは  

資本主義が技術の向上によって新たな領域(大洋、空、電波、遺伝子分野など)に進出する時、海賊は新たな形で登場してくるのだ

f:id:sam000urai:20160607064713j:plain photo:http://masaki-knz.cocolog-nifty.com/blog/2013/07/post-a342.html

 

海賊とはどういう存在か、上記の言葉に凝縮されているだろう。資本家はそれまで所有されていない場所や資源、物を見つけては殺到し、自身のテリトリーとしてきた。その中で必ず現れるのが脱テリトリー化への動き。その動きの中心にいるのが”海賊”という存在であると。ただ、その海賊も16世紀には「海の海賊」、以降は「ネット上の海賊」、「遺伝子分野の海賊」、「宇宙空間の海賊」と時代とともに姿形を変えているという。よく違法アップロードされたコンテンツは海賊版と言われるが、それも権力、テリトリー化された領域に対する海賊たちの抗いの表れであるのだ。

 

別の視点から見れば、海賊は常に少数派である。歴史は勝者が作るように多数派は国を作り、ルールを作り、はみ出すものを違反者として取り締まる。そのように国家のテリトリーではなく、非テリトリーにいる存在の海賊は歴史の弱者でもある。海賊という存在が許されるかどうかの見方は当事者の立場によって変わるのだ。

 

本書では資本主義をマルクスなどと別の言葉で言い表している。

資本主義とは、単位を統一し、社会を均一化し、労働力や資本の流通、交流を促すこと.......つまり、資本主義という概念を考えていくと、その出現には、脱テリトリー化規格の統一化という二つの動きが不可欠だ........資本主義というのは実に複雑で漠然とした現象なので、いつから存在していたのか、正確に突き詰めることは難しい。それでも、インドとアメリカ大陸の発見、新大陸への市場拡大が、グローバリゼーションの第一歩となったことは確かだ。 P38-39

また資本主義の始まりについて、1492年のアメリカ大陸発見から、近代的主権国家体制の存在が認知され、1648年にウェストファリア条約が締結された頃までに誕生したのではと述べている。このアメリカ大陸発見っていうのも当事者(アメリカインディアン)からすればイヤイヤ俺たち住んでるし発見っておかしいよと思っていたはずで、常に強者が歴史を塗り替えてきたんだと改めて実感する。

 

海賊と資本主義の関係って結局なに

資本主義にとって海賊という存在は”必要悪”なのだ。

全体が管理され均一化された社会でイノベーターが生まれにくいように、働かないアリが種の生存のためには必要なように、パレートの法則が示すように、コンピュータのバグが人間らしさを表すように、すべてバランスのもとに成り立っている。

資本主義社会が成り立つためにはそれに対する反体制が必要なのだ。コンフォートゾーンを抜け出せみたいな話とも同じようにそれだけで成り立っている世界の中で完全なものは有り得ない、常に海賊のような外部の存在が新しい見地を与えてくれる。

一種の考えや組織が全体を所有するのは良くないこと。

 

結局、国家 vs 海賊という構図は「所有権」の争いで、その所有する対象(海であったり、領土、もの、情報空間、権力)が時代とともに変わっていくだけということだ。

 

書評

全体的な感想としては、後一歩、いや後二歩踏み込んだ内容を書いて欲しかった。本書のいうところ、結論は「資本主義において”海賊”という存在は必要悪だ」である。ただ、その論考を述べるのに各章ごとに同じことを言ってる場合も多々あったり、表層的なデータや表現に留まっていた点などが残念だった。嬉しかったのは、キャプテンキッドや黒ひげ、ロジャー、バーソロミュー、サミュエルベラミー、モーガン船長などワンピースおなじみのキャラクター名が出てきたことだ。そして本書でいう海賊とコルセア(襲撃を国に許された国家公認の海賊)の関係性はまさに王下七武海を表しており、現実としてあったんだと実感させられた。

 

本書に関して翻訳家である山形浩生さんがやはり批判していた。受け取り方は様々なのでもちろん批判も現れることだろうが、”海賊と経済”を題材にした著書を初めて読むのであればいいと思う。

 

海賊と資本主義 国家の周縁から絶えず世界を刷新してきたものたち

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池田信夫 blog : 資本主義は海賊である

 

今後のGDPと人口の推移から見えてきた意外な国の発展

つい先日、GDPと人口について調べたことをざっくりと備忘録としてまとめたい。

中国、インド、アフリカの伸びについては大まかに知ってはいたが、アフリカのどこの国が伸びるのかなど、より詳しくはわかっていなかった。

 

Twitterで見つけた図。やはりビジュアルは分かりやすい。

中国の勢いが凄まじい。 

 

未来の”GDP”ランキング

この予測はシティグループが出したものを参照。2030年と2050年のGDPは中国圧倒的。続いて2030年半くらいにインドがアメリカを抜く。時同じくして日本はインドネシア、アフリカ勢に抜かれていく。

 

2015年

1位 アメリカ 17兆ドル

2位 中国   11兆ドル

3位 日本   4兆ドル

4位 ドイツ  3.3兆ドル

5位 イギリス 2.8兆ドル

 

2030年

1位 中国   57兆ドル

2位 アメリカ 35兆ドル

3位 インド  24兆ドル

4位 日本   9.2兆ドル

5位 ブラジル 8.7兆ドル

 

2050年

1位 中国     205兆ドル

2位 インド    180兆ドル

3位 アメリカ   84兆ドル

4位 インドネシア 46兆ドル

5位 ナイジェリア 42兆ドル

8位 日本     16兆ドル

 

やはり中国が一番という予測。

調べていて面白かったのが、リサーチする会社によってその予測数値は全然異なるという点。シティグループ1社がずば抜けて一桁多いのだが、全体的に見ても結構なバラつきがある。言われてみれば、2050年の経済予測なんて当てになるかどうかもわからないからしょうがないかと。あくまで予測。ただ、額云々よりもその順位づけには説得力がある。2050年の1位〜5位までの順位はインターネットの普及(全世界でネットに繋がるようになり、最低限の教育が均一化することで生産性が向上)と人口増しによってそうなっていくのだろうなと思う。

またインドといえばソフトバンクを思い出し、そういえば孫正義がインドへの投資について語るプレゼンで使っていた数字ってシティグループの予測だったんだと気づく。さすがに孫さん、数字の見せ方がお上手。一番インパクトのある数字を持ってきたんだね。

 

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どの予測にもだいたい共通する点が、とりわけBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)とネクスト11(インドネシア、イラン、エジプト、韓国、ナイジェリア、パキスタン、トルコ、バングラデシュ、フィリピン、ベトナム、メキシコ)の躍進だ。

 

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未来の”人口”ランキング 

大まかに言うと、現在73億人の世界人口は2050年までに97億人、2100年には112億人に達すると予測されている。

 

人口で世界地図を描いた図(2015)

f:id:sam000urai:20160507060555j:plainhttp://www.huffingtonpost.jp/2015/08/16/population-map_n_7995854.html

 

2015年

1位 中国     13.7億人

2位 インド    13.1億人

3位 アメリカ   3.2億人

4位 インドネシア 2.6億人

5位 ブラジル   2.0億人

11位 日本     1.2億人

 

2030年

1位 インド    15.2億人

2位 中国     14億人

3位 アメリカ   3.6億人

4位 インドネシア 2.8億人

5位 ナイジェリア 2.6億人

 

2050年

1位 インド    16.2億人

2位 中国     13.8億人

3位 ナイジェリア 4.4億人

4位 アメリカ   4.0億人

5位 インドネシア 3.2億人

16位 日本     1.0億人

 

2100年

1位 インド    15.4億人

2位 中国     10.8億人

3位 ナイジェリア 9.1億人

4位 アメリカ   4.6

5位 インドネシア 3.1億人

29位 日本     8400万人

 

まさかのナイジェリア!!!

これは知らなければ、なんとも意外な結果だ。

私が思うに人口予測は実際のほうが上回るだろう。理由は、「寿命の伸び」と「医療の発展」によるもの。また、その頃には人間に加えてロボットも一人として人口の内訳に入ってくるかもしれない。それを別にしても膨大な数になるだろうと予測される。

人口が予測以上に増えた場合でも資源問題などがあると思うが全て解決しているだろう。加えて、移住空間を宇宙に移しているとも考えられるので地理的にも問題はない。 この辺についてはまた別記事で触れたいと思う。

 

参考

2050年の世界―英『エコノミスト』誌は予測する

2050年の世界―英『エコノミスト』誌は予測する

  • 作者: 英『エコノミスト』編集部,船橋洋一,東江一紀,峯村利哉
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
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経済学入門(7) GDP統計について | 他力本願

2050年のGDP世界ランキングと推移 - 各機関の予測一覧 世界ランキング統計局

2100年の世界人口は112億人、国連予測 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト

 

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『魔法の世紀』を読んで ー ネーミングセンスが逸材

いやー面白かった!

 

読む前までの期待感をいい意味で裏切られました。

なにしろカバーしている情報の範囲が広い。そして自らメディアアーティストとして日々研究、制作に取り組んでいるので説得力も段違い。

 

内容を簡潔に伝えると、

「映像の世紀」から「魔法の世紀(充分に発展した科学はまるで魔法のようなもの)」に切り替わる。その魔法の世紀は何かと言うと、いわばコンピュータを中心に添えた社会だということ。つまり、人間が便利に使えるよう、人間の感覚にあった設計がされているありとあらゆるコンピュータや音声や映像などのメディア(人間中心のメディア装置)から、その人間の感覚を超越した設計のメディアへと変化するという。ただここで著者が強調していた事が、かといってどちらかに優位性があるという話ではなくあくまで横並びの関係性にしておこうよという点。その包括するワードとして挙げているのが「デジタルネイチャー」。

後半部分はその「デジタルネイチャー」の世界観を解説している。

 

単純な図にするとこんな感じ。 

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 人とコンピュータの関係性において、人工物/自然物の二分法を超越した自然観を持たない限り、人間は人間の隣人を認めることができないのではないか

アナログvsデジタルのような二分法に陥らずに、人間とコンピュータの共生関係を考えるための現実的なフレームワークなのではないか 

 

魔法の世紀

魔法の世紀

 

 

 

感じたこと(著者について)

●正確な歴史観とデータ

あらゆる歴史についてその源流まで遡り分析している。中でもパーソナルコンピュータの歴史はかなり厳密に書かれていた。アイバン・サザランドが今のスマホ普及までに影響を与えている点など。人物の関係性、出所などを元にそれらがどう影響を与え合っていて、その結果何が生まれたか、そして我々の生活にどう影響が与えられているかという点がとてもわかりやすかった。

 

●抽象化が素晴らしい

物事の解釈の視点。多面的に物事を捉え分析されている。例えば、下に書いているディズニーを判断する視点。他にも配車サービスのUberを自動ナビの車のインターフェ−スして人間を「半自動運転用ロボット」と「接客インターフェース」として捉えるなど。とても示唆に富んでいた。

 

●引用文献の少なさと英語文献が9割

読み終わって引用文献の少なさに驚いた。平均がどれくらいかはわからないが、オリジナリティをとても感じた。また、9割が英語の文献であり、本の内容からもそのカバーする知識量に驚いた。と同時に自分の知識の薄さに改めて気付く。

 

気になったキーワード 

ディズニーを見る視点

彼らは映像を押さえた後に、今度はどうやったらこの物理的世界を支配できるかを徹底的に考えています。

Googleやアップルよりも長いスパンの思想であり、文化的な意味でのブランディングでもある。背景には、ヨーロッパのブランド企業のような長期的ビジョンがあるのではないでしょうか。なぜなら、コンピュータが売れ終わり、プラットフォームの拡大が成熟しきった時に、最も強くなるのがコンテンツ産業なのは明白だから

コンテンツ産業が最後に勝つ。ディズニーがコンテンツを取りにいってることに言及。それもすべては「この世界に魔法を実現する」というビジョンのもと。アクセラレータを始めたのも記憶に新しい。普段ネットにディズニーの情報はあまり挙がってこない(自分が見てないだけなのもあるが)が実は一番のテクノロジー企業なのかも。この視点は自分にとって新しかった。

 

ジェームズキャメロンはすごい

キャメロンのコンピュータへの適応能力は異常です。単に荘厳なCGの感動という「原理のゲーム」の暴力で世界を圧巻したわけですから

ハリウッドの興行収入において『アバター』『タイタニック』『ターミネーター2』とどれもトップクラス。

 

プラットフォーム=基盤

インフラ機能を集約して共有することで、その「基盤」の上で活動するコストを下げるのがプラットフォームの特徴

私たちの生活に必要な様々なものを汎用化して、共有させることで価値を提供。それは同時にあらゆるものが汎用化されて、共有されていく圧力を世界に与えている。 

 

サイエンスとテクノロジー

産業革命以前は明確な区別はなかった。

産業革命以前、自然を機械的に扱う学問全般のことを、「アルテス・メカニケー(Artes Mechanicae」と呼ばれ、英語に輸入された時に「メカニカルアーツ(Mechanical Arts」と変わった。これは「リベラルアーツ(Liberal Arts」の対義語。そして日本ではそれを「技術」と訳された。

リベラルアーツ(Liberal Arts」が内側に向かう知性ならば、「アルテス・メカニケー(Artes Mechanicae」は外側に展開していく知性と言える。

テクノロジーの語源。ギリシャ語の「テクネ」→ドイツ語の「クンスト」→コツや技法を指す「テヒニーク」と、その学問としての「テヒノロジー」となる→「テクノロジー

 

エンジニアとデザイナー

両者の地位が向上した背景には、語源の出所が異なる点にある。

デザイン=下(De)に印(sign)をつけるという「テヒニーク」における対象物の設計という一分野を指す言葉だった

エンジニア=ラテン語で「天才」という意味の言葉の「インジニウム(Ingenium」が転じて「エンジニア(Engineer」になったという説が有力

 

産業革命の特徴は、モノを大量に消費する時代をもたらしたこと

 

デザイン

「デザイン」と「価値」の乖離ーすなわち「ブランド」の登場

表層と深層と価値の二回目の分離。ファッションの例を取れば、当時、大量生産品かオートクチュール(高級服=深層)しかなかった。ここにブランド(=価値)が登場。

 

エンジニア

エンジニアの歴史において決定的だったのが、特許の誕生。これによって、技術そのものが富を生むようになり、発明者が多額の富を手にする環境が整った。コンピュータの登場によって生まれたのがITエンジニア

 

エクスペリエンスデザインがより重要に

(スマホを見て、どうすれば実際に店舗まで行くかまでを設計するような領域)

 いかにリアルとネットが結びついた世界その全体性をデザインしプログラミングできるか、それこそが重要になる 

デザインエンジニアの必要性は今後も高まっていく。デザインは表層、エンジニアリングは深層の問題を解決するという時代は終わる。今後は表層と深層の両方を意識的に解決することなしに、新しいプロダクトは生まれない。

 

メディアの変遷

壁画と彫刻(32千年前)→粘土による土偶や土器→画期的な「紙」の登場。西洋ではパピルスと羊皮紙。日本では紙漉きが行われ、屏風や絵巻物は上物であった。→「写真」の登場→映像

メディアの歴史とは、「自由度」が高くなる方へと進化してきた

可搬性という意味での「動」の自由度の発展こそが、映画からスマホなどのモバイル端末への流れを駆動してきたとても大きな要因である

 

フレームレート(当人の動き)とエーテル速度

西洋と東洋の違いが面白い。西洋ではモノに着目し、東洋はそのモノを取り巻く要素としての空間(エーテル)に着目するという傾向は、両者の文化の深いところに根ざしている

 

動と静を対比する美的感覚

街中では我々はエーテル的な意味での「静」と「動」を繰り返す存在。

この「静」と「動」の議論の中にある問題は、次のメディア装置の形を示唆している

→この視点も興味深かった。

  

あまり関係ないが、Kindleに合う書籍とそうじゃない書籍があるなと感じる。今回の場合はテクノロジーよりの話が多かったのでデジタルな電子書籍が合ったのだろうか、、