スノーデンの起こしたリークはなんだったのか
2013年に一気に有名になったエドワード・スノデーンさん。
日本では少し遅れて2014年にメディアなどで多々取り上げられるようになった。
CIA及びNSA(国家安全保障局)の元局員で、その内部で行われていた諜報活動の告発を行った人である。 日本語でツイートするなど親日家としても知られる。
今回読んだ『暴露:スノーデンが私に託したファイル』はガーディアン誌のジャーナリストが書いた著書で、物語としては淡々と進む。翻訳の影響なのか多少の読みにくさはあったが内容は面白かった。また、読んではないが同時期に発売された『スノーデンファイル 地球上で最も追われている男の真実』も詳しいので是非。
エドワードスノーデンとは何者か
今回のリーク、そして過去の遍歴を見ても正義感の強い青年という印象が強い。
・スノーデンは、1983年6月21日、ノースカロライナ州エリザベスシティで生まれた。父親ロニーは、元沿岸警備隊員。母親ウェンディはメリーランド州ボルチモアにある連邦地裁事務副主任。姉は弁護士
・スノーデンはボルチモアの高校に入学したが途中退学。理由は分かっていない。何年かぶらぶらしていたが、高卒資格試験(GED)をパスし、2003年、メリーランド州にあるアン・アルンデル・コミュニティ・カレッジに入学しコンピュータ学を専攻した。2004年、『国際テロリストと戦う』ことを目指して陸軍予備役に入隊したが、訓練中に両足を怪我したため除隊
・情報機関との関わり合いができたのは国家安全保障局(NSA)付属のメリーランド大学外国語研修センターの警備員として雇われた時だった。スノーデンはネットオタクで、独学でネット技術について勉強していた。技術者としての適性能力が評価されたのか、その後、07年、米中央情報局(CIA)のIT安全管理者として雇用され、ジュネーブのCIA支局に派遣されている
・2009年にCIAを辞めた後は、米デルや、米ブーズ・アレン・ハミルトンに契約社員として雇われ、情報機関へも出向。ブーズ・アレン・ハミルトン時代にはNSAに出向し、日本でも勤務していたという。自称「仏教徒」で、日本語や中国語も勉強し、極東での通信傍受活動に関わっていたのでは、とみる。
個人情報収集:「スノーデン事件」とは何か!?~元CIA職員が暴いた米個人情報収集問題の謎! | nikkei BPnet 〈日経BPネット〉:日経BPオールジャンルまとめ読みサイトより抜粋
暴露した内容とは
で、結局スノーデンは何をしたのか?
という点が気になるところだ。簡潔に言えば、秘密を暴露した。その秘密とはNSAによる盗聴とその実態と手口だ。実際にNSAで行われていたことはアメリカ国民始め、各国首脳に対するものも含め、世界中における諜報活動である。その諜報活動として大きく以下のものに分類される。
●”アップストーリム”による傍受=光ファイバーケーブル経由
●インターネット企業サーバーからの直接収集=「PRISM」
●コンピュータ・ネットワーク利用=「CNE」
対象ユーザーのパソコンにマルウェアを混入させて監視下に置く方法
PRISM計画
アメリカ政府は9.11以降、監視を実行するため「愛国者法」や「外国諜報活動監視法」など数々の法律を制定してきたという。それらの法律改正によりいわば合法的に行われた監視プログラムのうちの一つが有名なPRISMだ。PRISMとは、世界のインターネット企業のサーバーから情報を直接収集するプログラムのことで、いわばデジタル通信の傍受である。
その企業にはWashington Post(WP)が入手した同計画の資料によれば、マイクロソフト(Microsoft)、グーグル(Google)、ヤフー(Yahoo)、フェイスブック (Facebook)、アップル(Apple)、AOL、Skype、YouTube、PalTalkなどの名前が挙がっている。巨大ネット企業の中でもTwitterは政府の依頼を断ったという。
エシュロン
かの有名なエシュロンは、主にアナログ通信の傍受と言える。
世界各地に置いたこの通信傍受施設によって“電波”を傍受し、電話や電子メールなどを盗聴。そういった“電波には軍事無線、固定電話、携帯電話、FAX、電子メール、データ通信などが含まれている。
エシュロンはほとんどの情報を電子情報の形で入手しており、その多くが敵や仮想敵の放つ電波の傍受によって行われている。1分間に300万の通信を傍受できる史上最強の盗聴機関といわれている。エシュロン - Wikiwand
今の時代、傍受されていないと決めつける方がおかしいとも言える。
アプリを使用すればその使用履歴などのデータは送られ、スマホを使えばアップルやグーグルにデータを提供していることになり、画像データはクラウドに上げずともGooglePhotを使っているのであればそのデータは共有されている。無料の便利さと引き換えに自身のデータを提供している。
一番いいのは知られたくない内容はオンライン上にアップしないことだろう。Googleのエリックシュミットも「どうしても人に知られたくないことがあるなら、初めからそれをするべきじゃない」と語る。
スノーデンが行ったことで重要な点は、こういった政府による諜報活動を問題提起したという点だ。このことで国民が議論できるものとなり、一人一人が考え、どう受け止めて行動するか。私はネットにアップしている情報はもちろん、LINEやGoogleで使用するデータなどは全て見られているという前提に立っているからあまり問題とは思わないが、プライベートな知りたくないことはアップしないに限る。
また不思議な点であるが、なぜあの大国アメリカがたった一人の内部告発者を捕まえることができなかったのだろうか?そして、仮想敵対国であるロシアへの亡命。ロシアにとっては喉から手が出るほど欲しい情報ばかりだったに違いない。本当に捕まることができなかったのか、泳がしているだけなのか、はたまた最初からアメリカがリーク目的に逃がしたのか。アメリカはスノーデンのリークの仕返しにパナマ文書をリークしたのだろうか。いろんな見方はできるがその真相は置いておくとして、スノーデンのような人を見ていていつも思うのは結局は「自由との戦い」だということ。
同じように、”全ての人に情報が開かれているべき”という理想を追求したアーロン・スワーツ。最後までインターネットの自由と戦い、最後は疲弊して自殺に至ったのだが、本当に素晴らしい人だったと思う。
いつの時代も権力と自由の間で戦いは起こるのかもしれないが、いつしかバランスの良い状態が訪れることを願うばかりだ。
スノーデン氏は「結局、プライバシーとは、あなたが公開したくないことは公開しなくていい権利、あなた自身である権利だと思う」と切り出し、「無制限の監視ではプライバシーは社会のものになり、人権侵害の問題に行き着く。政府の方針に任せるのでなく、市民が社会の主役となり、監視のリスクを議論すべきです」と力説した。亡命中エドワード・スノーデン氏、日本の危機を生中継で指摘(1/2) - シネマトゥデイ
我々にできること
先にも述べたが極論は知られたくないデータをアップしないこと、残さないこと。
スノーデン曰く、盗聴を防ぐにはバッテリーを抜くか、冷蔵庫に入れることだという。スマホやパソコンを遠隔地から起動させ、盗聴器として使うことができるからだとのこと。こういった政府からの傍受を防ぐという点で、本質的な解決にはならないが第三者の不正利用を防ぐという点で有用なのが「2段階認証の導入」だ。これは絶対やっておいたほうがいい。
●Googleアカウント
Googleアカウントの2段階認証の設定 - Gmailの使い方
●Facebookアカウント
知っておきたい2段階認証の方法 - Facebook編 (1) Facebookアプリの「設定」画面へ進もう | マイナビニュース
●有用性
参考
映画は2本公開されているので是非ぜひ。
『シチズンフォー』に関しては、日本では2016年6月11日から公開。内容は本人出演んおドキュメンタリーで緊迫感と臨場感が感じられるようだ。もう一つは政治関連の映画が多いオリバーストーン監督の『SNOWDEN(スノーデン)』である。アメリカで2016年9月に公開とのこと。日本での公開は未定とのことで残念。。
- 作者: ミシェル・フーコー,Michel Foucault,田村俶
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1977/09
- メディア: 単行本
- 購入: 3人 クリック: 124回
- この商品を含むブログ (227件) を見る
スノーデンが語るプライバシ―自分に関わる権利とは何か―(塚越健司) - 個人 - Yahoo!ニュース
現在、wBuyBuyというグローバルECをやっています。
もし、よろしければ覗いてみてください☆