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LIFEEEEE!

”生きるように学び、学ぶように生きる” 

Samurai ー武士道 新渡戸稲造ー


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武士道 読了。
 
今回も前回同様に眠っていた本をやっと読み終えた。
ずっと読みたかった新渡戸稲造の武士道
 
『武士道』の原題は「BUSHIDO The Soul of Japan 」。滞米中の新渡戸稲造が英語で書き、明治三十二年(一八九九)にアメリカで出版された。そして、数年のうちにドイツ語、ポーランド語、フランス語、ノルウェー語、ハンガリー語、ロシア語、イタリア語などに翻訳されベストセラーとなった名著である。
ここまで広く読まれたのも時代背景の影響が大きいためであろうが、それに見合うほどの内容が詰まっていて良かった。
 

 

目次

1章 武士道とは何か

2章 武士道の源をさぐる

3章 「義」武士道の光り輝く最高の支柱

4章 「勇」いかにして肚を錬磨するか

5章 「仁」人の上に立つ条件とは何か

6章 「礼」人とともに喜び、人とともに泣けるか

7章 「誠」なぜ「武士道に二言はない」のか?

8章 「名誉」苦痛と試練に耐えるために

9章 「忠義」人は何のために死ねるか

10章 武士は何を学び、どう己を磨いたか

11章 人に勝ち、己に克つために

12章 「切腹」生きる勇気、死ぬ勇気

13章 「刀」なぜ武士の魂なのか

14章 武士道が求めた女性の理想像

15章 「大和魂」いかにして日本人の心となったか

16章 武士道は甦るか

17章 武士道の遺産から何を学ぶか

 

武士道の基本原理

武士道の基本原理は以下の宗教、思想から成り立っているという。

本中でもあったものを紹介する。

 

仏教

運命に対する安らかな信頼の感覚、不可避なものへの静かな服従、危険や災難を目前にしたときの禁欲的な平静さ、生への侮辱、死への親近感などをもたらした

神道

他のいかなる信条によって教わることのなかった主君に対する忠誠、先祖への崇敬、さらに孝心などが神道の教義によって教えられた。そのため、サムライの傲岸(ごうがん)な性格に忍耐心がつけ加えられた

孔子の教え

道徳的な教義に関しては、孔子の教えが武士道のもっとも豊かな源泉となった。孔子が述べた五つの倫理的な関係、すなわち、家臣、父子、夫婦、兄弟、朋友(ほうゆう)の関係は、彼の書物が中国からもたらされるはるか以前から、日本人の本能が認知していたことの確認にすぎない。冷静、温和にして世才のある孔子の政治道徳の格言の数々は、支配階級であった武士にとって特にふさわしいものであった。孔子の貴族的かつ保守的な語調は、これらの武士統治者にとって不可欠のものとして適合した。

孟子の教え

孔子についで孟子が武士道に大きな権威を及ぼした。彼の力のこもった、時にはなはだしく人民主権的な理論は、思いやりのある性質をもった人々にはことのほか好まれた。

 

王陽明の影響

私は神道の教説にいいあらわされているように、日本人の心は王陽明の教えを受け入れるために、特にひらかれていたように思う。王陽明は、その良心無謬説の教義を極端な超越主義にまで発展させた。そして、単に善悪の区別に留まらず、心理的諸事実と物理的諸事実の性質も、また知覚しうる能力までもが良心にあると考えたのである。王陽明の思想のもつ個人の成長や平静に人格を発展させうる倫理的な意義には反駁できないものがある。 

 

ー語句説明 補足ー

傲岸・・・おごりたがぶってへりぐだらないさま

孝心・・・親孝行しようとする心

無謬・・・理論や判断に間違いがないこと

反駁・・・「反論」他人の主張や批判に対して論じ返すこと

 

健全であっても洗練さにはほど遠い気質は、古代の思想の本道や、脇道から拾い集められた断片的な教訓の束から、十分な糧を彼らの精神にもちこんだ。

 

 ”武士道”は断片的に各々の思想や宗教を取り入れ、独自で展開した思想であるということだ。このことを踏まえて本中では「義」「勇」「仁」「礼」「誠」「名誉」「忠義」について展開されている。

 

感想

武士道は最初にも述べたが、新渡戸稲造がアメリカにいる際に書いたものだ。

なので、武士として育ち、武士を知っている者ではなく、外(外国)から見た際の日本の武士道をあくまで描いている。そのため、外国の人々に訴えるように日本を美化するような記述は多く見受けられるが致し方ない。また、彼はクリスチャンでもあったためキリスト教の言葉の引用が多く(他の文献もみてみると、やはり世界中のクリスチャンをメインターゲットにおいて書かれていたそうだ)、ユダヤ批判と思われる一文も見受けられた。 

 

それはそうと、日本人の気高き精神をいつでも思い起こすことのできる良書であったのは間違いない。

時に立ち止まりこの本を手に取り、大切なものを見つめ直すきっかけになれば彼も本望であろう。”武士道”の精神は人々の心の中に残り、世代を超えて脈々と受け継がれる。”日本人らしさ”という漠然としたものから、そのルーツのヒントを知れる一冊であった。

 

また、歴史を振り返ると宗教が一気に広がったのも印刷革命があったからで、それまで一冊一冊書いていたものが活版技術により増刷できるようになり、人々はより多くの書物、文字に触れることができるようになった。いわば、文字が宗教・思想を広めたといっても過言ではない。

そう考えると、日本のことを世界に向けて伝えている書物というのはあまり思いつかない。やはり、この「武士道」が有名であろう。ただ、これも100年以上も前に書かれたもので、現代の諸外国の人々が知っているのかどうか。

つまり、今後ますますネットの普及やIotなどで国という境界がなくなり、グローバルになっていく世の中で、日本という国・日本人が世界で活躍していく際には書物という形で日本の精神を伝えることはもちろん、この”武士道”の精神を持って世界へ飛び立ち発信する者が増えれば、また日本は一歩前に進むのかもしれない。 

日本人なら一度は読んでおきたい一冊だ。

 

最後の締めの言葉にはあるクエーカーの詩人の言葉を紹介していた。

 

いずこよりか知らねど近き香気に、

感謝の心を旅人は抱き、

歩みを停め、帽を脱りて

空よりの祝福を受ける。